2016年4月14日および同月16日、熊本県内を震源に大規模な地震が発生し、多くの人々の命、そして日常が奪われる結果となりました。被害に遭われた方々へ、この場にて心よりお見舞い申し上げます。

当時私は高校生でしたが、土砂とともに崩れ落ちた阿蘇大橋の映像を目の当たりにして強い驚きと恐怖に襲われたことを記憶しています。その現場は熊本県の北東部、南阿蘇村という場所の中にありました。
南阿蘇村では阿蘇大橋の他にも様々な箇所で損傷が激しく、周囲の地域と比べて復旧作業が難航していたことから、Rooteでは翌年の3月より継続的なボランティア活動を行っています。

私がボランティア要員として初めて南阿蘇村を訪れたのは2018年の12月、震災から2年と半年以上が経過した頃でした。

本学のOBであり、Rooteが南阿蘇村で活動するきっかけをくださった長野良市さん。
同村で就農支援活動を行う中で私たちの活動を支えてくださった吉村孫徳さんをはじめ、多くの方が震災当時の状況や復旧作業のお話をしてくださいました。
実際に阿蘇大橋の跡や土砂崩れの現場を訪れたとき「2年前ニュース番組で見たあの光景が、いま自分の目の前にあるのだ」と、この地震が残していった爪痕の深さを改めて知ることになりました。

↑熊本県と大分県を結ぶ国道へ続き、南阿蘇村への出入り口でもあった阿蘇大橋。フェンスの奥に橋梁が続いていたが、16日の本震によって崩落した。

そして、熊本地震から4年。

インフラ面では、震災の影響で現在も一部区間で不通となっている南阿蘇鉄道について2023年に全線で運転再開の目途が立ちました。
また崩落した阿蘇大橋の代わりとなる新阿蘇大橋の建設が進み、2020年度中に開通予定。観光施設も相次いで営業再開を果たすなど、南阿蘇村の復興は着実に前へ進んできたと感じています。

そんな南阿蘇村と共に、私たちの活動内容もインフラの「復旧」から観光産業の「復興」へと移ってきました。
発災から時を経た地域の、観光産業を盛り上げたい。この新たな、そして複雑な課題にどう向き合っていくのか。大きな方向転換の時期でもありました。
そして、

「もっとたくさんの人たちに、南阿蘇村を知ってもらいたい。そして来てほしい。」

そんな思いをもとに、南阿蘇村の魅力を「商品」という形でリブランディングするプロジェクトが生まれました。その第一歩として「私たち自身がさらに南阿蘇を知らなければ」と考え、村内の観光スポットや農園への視察を行いました。

フルーツ、野菜、自然・・・どれも代替できない魅力に満ちています。しかしその中でも改めて素晴らしいと感じたのは「水」です。白川水源を訪れたとき、その透明感と見た目通りの透き通った味に驚かされたのを覚えています。また12か所の水源から湧き出る阿蘇の良質な地下水が、環境保全活動や地下水を汚染しないために工夫された農業などによって守られていることを知り、様々な人々の強い想いを感じました。

「そんな人々の想いを乗せた素敵な商品で、より多くの人に南阿蘇を知ってもらえたら」という思いのもと、引き続き実現に向けて活動を続けていく予定です。

↑村内最大の規模を誇る白川水源。環境省の「名水百選」に定められ、阿蘇の大地という天然フィルターを通ったおいしい水が湧き出る。

話は変わりますが、1年間このプログラムのリーダーとして南阿蘇村の皆さんと触れ合う中で、常に感じてきたことがあります。
それは、『人と人のつながりの強さ』です。

南阿蘇村の方々全員が、誰がどこで何をしているのかをしっかり把握していて、時に情報を共有したり、助けに行ったり。東京ではあまり見られなくなってしまった住人同士の強い団結を垣間見ることが多々あり、そのたびに胸が温かくなる感覚を味わいました。この温かい繋がりがこれからも途切れることなく続いていって欲しいと感じました。
そのために、「自分たちが全力で支えよう」 そう決意しました。

しかし私たちの力だけで進むには、復興の道のりはあまりに長すぎます。
今このブログを読んでいるあなたが、南阿蘇村の今、そしてその魅力を知ること。
それが何にも代えがたい推進力になると感じています。
阿蘇の山々、温泉、グルメ、そして現地の方々はいつでも、あなたを喜んで迎えてくださいます。阿蘇山の自然を眺めに、温泉に入りに、阿蘇が誇るブランド牛「あか牛」を食べに、ぜひ南阿蘇村を訪れてみてください。きっとどれもあなたの心を掴んで離さないはずです。

お読みいただきありがとうございました。熊本プログラムではこれからも南阿蘇村の復興に尽力してまいります。

最後になりますが、新型コロナウイルスが全国で猛威をふるっております。
当該ウイルスの感染拡大防止のため、Rooteでは3月中に予定していた現地への訪問を中止させていただきました。皆様におかれましても、どうかお体に気を付けてお過ごしください。この危機を乗り越え、再び活動できることをスタッフ一同心より願っております。

↑高台から阿蘇の山々を望む

熊本プログラムリーダー
経済学部経済学科 3年
岡本 凌翼