ダイアリー

震災5年目に向けて

2016年4月14日および同月16日、熊本県内を震源に大規模な地震が発生し、多くの人々の命、そして日常が奪われる結果となりました。
また2020年7月に発生した九州豪雨により被害に遭われた方々へ、この場にて心よりお見舞い申し上げます。

熊本地震は今からちょうど5年前の2016年4月14日に益城町を震源地とした前震が発生し、2日後の16日には南阿蘇を震源地とした最大震度7の本震が発生した大規模な自然災害です。

私は当時高校2年生で、授業を教室で受けている時に担任が「九州が大変なことになった。」と、教室に走ってきて急いでテレビの電源をつけた時には、家屋が完全に倒壊している様子や、崩落した阿蘇大橋の映像が流れていて同級生とともに映像に対する驚き、地震への恐怖を感じたことを今でも覚えています。その現場は熊本県の北東部に位置する、南阿蘇村という場所の中にありました。

Rooteが南阿蘇村を拠点に活動を開始したのは2016年11月頃です。それまでは震災直後の募金活動、2016年7月に益城町、西原村、11月に南阿蘇村の現地調査を行いました。調査以降南阿蘇村を活動拠点とし、「災害復旧」を目標に活動していました。月日が流れ被災地のニーズが変化し、活動目標を「復興」、「震災前よりも活力のある南阿蘇村へ」に変更し日々活動しています。

私がRooteのメンバーとして初めて南阿蘇村に訪れたのは、2019年の8月、震災から3年以上経過した頃でした。
大学のOBであり、Rooteが南阿蘇村を拠点として活動するきっかけを作ってくださった長野良市さん。同村で就農支援活動を行う中で私たちの活動をいつも支えてくださった吉村孫徳さんをはじめ、多くの方が震災当時の状況や復旧作業のお話をしてくださいました。

例えば、熊本地震によって崩落した阿蘇大橋は熊本県阿蘇郡立野と南阿蘇村河陽黒川をまたぐところに架橋されていた橋です。
通称赤橋と呼ばれています。元々阿蘇大橋が開通していた場所に熊本地震の語り部として活動されている東海大学の学生に案内していただき、また倒壊した家屋の跡地などの現場にも案内してもらい、当時テレビ越しに見ていたあの風景を実際に見て地震が残す大きな爪痕はこんなにも深いのだと考えさせられました。そして、この出来事は絶対に風化させてはならないと考えるきっかけにもなりました。

今年は、熊本地震発生から5年が経過しようとしています。

インフラ面では崩落した阿蘇大橋に代わる新阿蘇大橋の建設が完了し今年の3月7日に開通され、そのことを受け新たな観光スポットとして誕生した「ヨ・ミュール」と呼ばれる展望所が建設されるなど、村の復興は着実に進んでいると感じています。
村のニーズの変化に伴い、私たちの活動基盤も変化してきました。
昨年度から活動しているブランディング活動を継続し、南阿蘇村がもっと観光スポットとして盛り上がる1つの材料となるような商品作りをしています。南阿蘇村にある魅力あふれる資源を有効活用した商品を開発できればと考えています。そして「より多くの人たちに南阿蘇の良さを知ってもらいたい」という思いのもと引き続き活動を行なっていきたいと思います。

また昨年から猛威を振るう新型コロナウイルスの影響もあり、今年は実際に南阿蘇村に訪れることができず思うような活動ができませんでした。昨年7月に発生した九州豪雨により甚大な被害を受けた地域もあり、本来ならば災害支援活動として現地に向かうべきでしたが、それはかなわず自分たちが思う様な行動が出来ず心苦しい状況となりました。

しかし、このような世の中でも私たちに何かできることはないだろうかと考え、オンライン上で本学の学生に九州豪雨への支援金を募りました。インターネット上での活動はなかなか難しい点が多かったですが、予想以上の支援金を集めることができました。この場をお借りしまして、改めて感謝を申し上げます。集めた支援金は日本財団へ寄付し、災害復旧のため有効活用して頂いています。

今私たちは新型コロナウイルスの影響もあり、少しずつ「新しい生活」に切り替わっています。実際に現地に足を運ぶのが難しい状況でも、ボランティアをどのように継続させるかを考えていくことが重要になっていると私は考えます。

そのような中でも私が約1年間、このプログラムリーダーとして活動を行なってきた中で、とても強く感じたことがあります。

それは前プログラムリーダーが口にしていた「つながり」です。

コロナ禍でなかなか南阿蘇村に向かうことができない状況でしたが、現地の今の状況などを教えて頂いた時、また豪雨の影響を大きく受けたにもかかわらず現地の方々がみんなで協力して助け合っていた様子をSNSを通じて見た時に、災害が多い国であるからこそ、人々の団結、つながりはとても重要なのだと感じました。今年は東日本大震災が発生して10年が経過するなど、地震災害についてより深く考える機会が多い一年になるのではないかと私は考えます。このような自然災害による被害を抑えるためにも、南阿蘇村に住んでいる人たちの「つながり」はもちろん、同じ地域に住んでいなくても「つながっている」という意識がとても重要になってくるのではないでしょうか。

その「つながり」を大切にし、今後も南阿蘇村の魅力をアピールする手助けを行なっていきたいと考えています。最近は様々なコンテンツを通じて情報を得ることができる世の中になっています。様々なコンテンツから、南阿蘇村にある魅力あふれる場所や、食べ物などを紹介し、今このブログを読んでくださっている皆様に、「南阿蘇に訪れてみたい!」と思わせる様なきっかけ作りを今後も行なっていきたいと思います。南阿蘇村の魅力を伝え、そして「熊本地震があったことを忘れさせない、風化させない」ための活動を今後もメンバー一同行っていきたいと考えています。

最後になりますが、昨年から大流行している新型コロナウイルスが今現在でも猛威を震っています。皆様におかれましても、どうかお体に気をつけてお過ごしください。

また大学が対面授業を復活させることを受け、今年は感染対策を徹底し熊本地震が発生した4月14、16日に合わせて毎年行っていた熊本WEEKを規模は小さくなりますが開催する予定です。
新しい生活が求められる今だからこそ、できる範囲で行っていきたいと考えております。
この厳しい長い戦いを乗り越え、再び今までのような活動ができることをスタッフ一同心より願っております。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

熊本プログラムリーダー
経済学部現代経済デザイン学科 3年
在本 茉由

 

 

関連記事

TOP