2023年8月17日~9月14日の大学夏期休暇期間、「夏の草むしり隊ボランティア」を実施しました。これは渋谷区笹塚地域を中心に青学生が地域の方々と出会い、地域課題を学ぶうえで社会貢献に向けたアクションに取り組んでいく渋谷・笹塚プロジェクトの一環として、一般社団法人 TEN-SHIPアソシエーションとの共催により実施したものです。以下に参加した学生のレポートをご紹介します。
1.参加動機
もともと植物が大好きで「草むしり」の言葉に惹かれたのが最初のステップでした。ボランティア活動にも興味はあったのですが、なかなかハードルが高く、一歩が踏み出せませんでした。しかし今回は得意な植物、「これはやるしかない!!」とこの企画に応募しました。これまでコロナの影響でサークルや部活動を見送り、他学科や他学年の方々との交流機会がなかったこともあり、学生生活最後の夏休みに良い機会だとも思いました。張り切って4回申し込んだら、最多出場となり、草むしり隊隊長の大役をいただきました。嬉しく恥ずかしだったけれど、俄然やる気が出ました。役目って大事ですね。
2.活動内容
活動の流れは、笹塚十号通り商店街「十号いこいの場」に集合するところから始まります。そこでTEN-SHIPアソシエーションの戸所さんから活動や地域のお話、当日の作業場所の説明をしていただき、メンバー間で自己紹介をしました。
作業場所へは歩いて向かったり、時には人生初の電動自転車で移動。メンバーと下り坂シミュレーションをし、「こりゃ草むしりより自転車の方がよっぽど大変かもしれないねぇ」なんて言い合いながら、あわあわ向かったのはとても良い思い出です。毎回異なるエリアに向かったのですが、同じ街でも草やお家の様子が異なり、生活の様子を肌で感じることができました。
活動場所に到着すると、まずは依頼された方にご挨拶をして、工程のイメージと役割分担を行いました。ここからが本題の草むしり。まずは背の高い草をバサッと切って、立ち入れるようにします。そこから徐々に草を引き抜き、ブルーシートの上に集めます。ある程度溜まってきたら簀巻きにし、立ててゴミ袋にすぽっと入れます。2人で息を合わせてゴミ袋からブルーシートをぶんぶん引き抜けば、きれいに草が入ります。しばらくすると戸所さんが枝の剪定をされるので、切った枝がゴミ袋に入るサイズにポキポキするのも私の仕事でした。時々、手首サイズの枝もあり、ノコギリや足でバキッと折るのも快感でした。剪定や草むしりが終わると、ほうきで掃き、ゴミ袋を閉じます。日に当たってある程度くったりしてるとはいえ、草木がパンパンに詰まったゴミ袋を閉じるのはなかなかコツがいる作業です。
全ての作業が終わったら、依頼された方へご挨拶。きれいになった様子を見てキラキラとした表情でありがとうと言っていただけた時の喜びは格別でした。ちょうど祖父母と同じ世代の方々だったので、お話をしていると帰省しているような、あたたかく懐かしい気持ちにもなりました。
3.活動を通して学んだこと
新たな視点を得、よく観察して、相手のかゆいところを考える姿勢を学びました。
最終回の活動前、戸所さんが「草むしり、大変だなではなく、これまではその方々がやってきたこと。誰かができなくなったら、新たな誰かが代わりにやらなければならない」という言葉が心に残りました。利用者の方は自分の庭を毎日眺めているからこそ気になるし、体が思うように動かなくなって、これまでできていたことが、もう自分ではできないもどかしさがあると思います。私は活動の合間に4年ぶりの帰省をしたのですが、祖父母宅でも似たような場面がありました。ほとんど寝たきりの祖母の家の窓を拭いたら、「あー、気持ちのよかね〜。ずーっと気になっとったとけど、私はしいきらんかったとよ。ありがとうね。」と、とても喜んでくれました。たった一枚の窓の小さな汚れ、外の人から見れば小さなことでも、そこで1日の大半を過ごす祖母にとっては、大きな気掛かりだったようです。その経験と戸所さんの言葉の延長で、最終回の作業後に、お庭のクチナシを花束にしてお持ちしたところ、素敵な笑顔で喜んでくださり、こちらもとても嬉しかったです。
「地域の方々を集めたボランティアだと、近隣の方に自分の家を見られてしまうことへの抵抗感から頼みづらい部分がある。あえて違う地域から集まった人たちが新たなおとなりさんとしてお手伝いをすることで、助けを求めやすくなる。」というお話を聞き、ただ作業をするだけでなく、依頼される方々への心の面での配慮をされていることにも心を動かされました。
行政でも、民間企業でも取りこぼされてしまう人々を助ける、新たな”おとなりさん”になりたいという戸所さんの想いに強く共感し、私もその仲間になりたいと、新たな夢を見つけた夏になりました。
文学部 フランス文学科 4年
福田 さくら
渋谷・笹塚プロジェクト「夏の草むしり隊ボランティア」の詳細はこちらから