
学生スタッフ 長塚由香(経営学部経営学科3年)
1.学生スタッフを志望した理由
私が学生スタッフを志望した理由は「福祉」の現状を知り、それを多くの人に発信したいと考えたからです。私の母はソーシャルワーカーとして、生活困窮者の自立支援や在日外国人の支援などの活動に携わっています。母の話を通して、私が普段の生活で接することのない人々の状況に興味を持つようになり、同時に、そのような方々に対して現在どのような支援が行われているのか知りたいと思うようになりました。
また、私と同じように福祉の現状について知らない人は多いと感じています。現在の日本は都市孤立や高齢化など社会課題の顕在化により、以前よりも支援を必要とする人の数は増加していますが、その一方で支援に関わる人の数は減少しています。今後さらに支援の需要が高まることを考えると、一人でも多くの人に福祉の現状を知ってもらい、支援者の輪を広げていくことが重要です。そのため、学生スタッフとして福祉について学び、それを自分の言葉で発信することで、支援者を増やすきっかけを作りたいと考え、今回応募しました。

2.夏休みの活動について
夏休みには、以下の4つのボランティア活動を行いました。
- 知的障がいのある子どもたちと東京タワーにお出かけ(結びmeさんプログラム)
- 笹塚十号のいえで学生主催企画イベント(笹塚プロジェクト)
- 笹塚の高齢者住宅で草むしり(「夏の草むしり隊ボランティア」)
- 渋谷区立笹塚小学校で学習支援(「夏休み最後の学習支援ボランティア」)
①では、ヘルパーさんのアシスタントとして、知的障がいのある子どもと一緒に東京タワーを訪れました。②では、笹塚商店街にある地域のコミュニティースペース「笹塚十号のいえ」で魚釣りのイベント企画実施を行いました。③では、笹塚地域で生活する高齢者の方々の代わりに、草むしりを行いました。④では、勉強が苦手な小学生への学習支援を行いました。
また、学生スタッフのミーティングでは、個人の活動目標や今後挑戦したいボランティアについて意見を出し合いました。前年度の活動事例を共有することで、自分の目標がより具体的になり、今後の活動への意欲が一層高まりました。

3.印象深かったこと
特に印象深かったのは、①の活動でした。私は、これまで障がい者支援のボランティアに参加したことがなかったため、どのように接すればよいのか分からず、不安な気持ちでいっぱいでした。しかし、実際に子どもたちと関わる中で、車や恐竜が好きなど、多くの子と同じような興味を持っていることを知りました。最初は「他の人と違う」という点ばかりに目を向けていましたが、関わっていくうちに「同じところもたくさんある」ということに気づかされました。この経験を通して、相手を一人の個人として見ることの大切さを学ぶことができました。
4.得られたこと
【やりがいを感じた瞬間】
自分のことを覚えてくれていたり、必要としてもらえたりした瞬間に、最もやりがいを感じました。笹塚小学校での学習支援の後、夏休みが明けて「笹塚十号のいえ」でイベントを開催した際に、一人の子どもが「あの時の先生だ!」と声をかけてくれました。そのほかの活動でも、「前に参加してくれた人だよね!」と声をかけてくださる方が多く、活動を通して自分の存在を覚えてもらえていることを実感しました。
ボランティアを通して、自分自身が地域のコミュニティの一員になっていく感覚を持てたことは、他者から認められる喜びにつながりました。人とつながることの温かさに、強いやりがいを感じました。

【活動を通じて考えたこと】
活動を通して、共に生きていくことの大切さを学びました。ボランティアに参加する前は、アルバイトや学校などで、同じ境遇の人と関わることがほとんどでした。しかし、この活動では、子どもからお年寄りまで、さまざまな人と接する機会をいただきました。その中で、一人ひとりが自分らしく活躍している姿を目の当たりにし、多様な人が共に生きる社会のあり方を実感しました。
初めて出会う相手に対しては、誰しも不安や戸惑いを感じるものです。けれども、相手を知ろうとすることで、思っていたよりも身近な存在であることに気づきます。共通点は探せばいくらでも見つかるものです。そして、その「きっかけ」を与えてくれるのがボランティア活動だと思います。まずは一歩を踏み出し、人と関わること――それこそが、共に生きることへの第一歩だと感じました。
【自分の中での変化】
ボランティア活動を通して、「共に生きる」とは何か、そしてそのために何が必要かを学びました。私が学生スタッフに応募した理由の一つは、「支援者を増やすきっかけを作りたい」という思いでした。しかし、活動を重ねる中で、「支援する側」「支援される側」といった区別そのものが違うのではないかと感じるようになりました。
誰もが一人の人間として、それぞれの立場や個性を持ちながら、共に生きていく仲間なのだと思います。共通点もあれば違いもある。困ったときに自然と手を差し伸べ合える。そんな関係こそが、本当の意味での「共生」ではないかと感じました。そして、そのつながりを生み出すために最も大切なのは、お互いに関わる“接点”をつくることだと思います。その接点の場を与えてくれるのが、まさにボランティア活動だと思います。
今後も、一人ひとりが自分らしく活躍できる共生社会の実現を目指し、積極的に活動を続けていきたいです。

5.これから挑戦したいこと
今回の活動を通して、さらに地域や人とのコミュニティの輪を広げていきたいと考えています。ボランティアは、人と人とがつながる“きっかけの場”です。この意味をより多くの人に知ってもらい、多くの人が活動に参加することで、共に生きる社会の実現につながると感じています。そのため、今後はボランティアの魅力や意義を発信する広報活動に力を入れていきたいと考えています。この文章も、その取り組みの一環です。また現在、学生スタッフによる広報誌「CEC TIMES」を制作中です。多くの人に“きっかけ”を届けられるよう、今後も努力を続けていきます。