もしもプロジェクト青学メンバーとして、災害時の避難経路を分かりやすく動画にまとめてくれた池田千陽さんと渡邊玲緒さん(2人とも法学部法学科3年)にプロジェクト参加のきっかけと動画制作に携わった感想を寄せてもらいました。
~防災への意識の芽生え、プロジェクトへの参加動機~
<池田千陽さん>
私が防災に興味を持ったきっかけは、2016年に起きた熊本地震です。この地震で母の実家が被災し、私は実際に被災地を肌身で感じるという経験をしました。美しかった風景が震災によって壊れ、たくさんの人々の生活が奪われてしまった様子を見て、震災の恐ろしさを痛感し、何か防災に関わることをやってみたいという思いを抱くようになりました。そして大学に入り渋谷という地に通う中で、都市防災にも興味を持つようになりました。そんな折に、ボランティアセンターから渋谷区後援の都市型防災プロジェクトが始まったことを聞き「まさに自分のやりたかったことだ!」と直感し、参加をきめました。
<渡邊玲緒さん>
私の志望動機は、東日本大震災がきっかけでした。
当時、小学生だった私は恐怖で泣き喚いていた記憶があります。そんな私を先生たちは冷静に避難誘導してくれました。しかし、家に帰った後は一人だったので、不安に押しつぶされそうでした。小学生でも最低限の防災知識を持っていれば少しの不安は拭えたのかなと今は思います。同じ頃、私のお姉ちゃんは学校にずっと取り残されていました。人々のパニックで道路が大渋滞を起こし、お父さんやお母さんがお姉ちゃんを迎えにいくことができなかったからです。後から両親に聞いたことですが、やっとの思いで学校に着いた時、普段何があっても泣かない強い姉が不安と恐怖で両親の顔を見た途端ポロポロと泣き出したそうです。もしも突然地震がやってきたら、慌ててしまうのは当然のことだと思います。しかし、最初は慌てても、その後どうやって落ち着くかが私はとても重要だと思います。もしも小学生だった私に防災知識があれば周りの友達を落ち着かせることはできたのではないか、もしも皆さんに避難経路などの防災知識があって、突然の地震でも冷静に行動できたら、あの頃のお姉ちゃんみたいに寂しく不安な思いをする人はいなくなるのではないかという希望、想いが今までずっとありました。だからこそ私が本動画を作りたいと思った理由は、災害が来ても一回慌てた後で冷静さを取り戻して、人々を先導する人に皆さんがなってほしい、また私がそうなりたいと思ったからです。
~動画を作る上での工夫(撮影時)~
私たちが、動画撮影で工夫・苦労した点が4つあります。1つ目は、どの動画でも動画の初めは、皆さんがよく知っている場所をスタート地点に設定した点です。例えばスクランブル交差点など、観光地として有名な場所をスタート地点とすることで、実際に避難する際に分かりやすいよう、また実際の避難時の経路を動画でイメージしやすいように工夫しました。2つ目は、目印になる建物やオブジェクト、また危険だと思う場所など、皆さんに注目・注意してほしいところが理解されやすいように、それをピックアップして、よく写すように努力しました。また、動画をご覧頂く際に実際に避難場所まで歩いている事を皆さんに想像していただくために、カメラを歩く目線に合わせ、ブレないようにしっかり固定しながら写すように努力しました。3つ目は、交差点など曲がるときに一回全体を写すようにして道順を分かり易いものにするようにした点です。4つ目は、渋谷区には避難場所がたくさんあるのですが、皆さんが見やすいような比較的短い動画にするために、効率的な避難ルートを試行錯誤した点です。
~動画を作る上での工夫(編集時)~
私たちが動画編集で工夫・苦労した点は4つあります。1つ目は、ルート全体の距離感やイメージを把握しやすいように地図を取り入れたという点です。なぜなら地理感覚のない方や、初めてその土地を歩かれる方には、本動画だけではルート全体像を把握しにくいと思ったからです。そこで地図を取り入れることで誰でもルート全体の距離感を分かりやすくなるよう工夫しました。2つ目は、字幕を入れた点です。どちらの動画でも声は入っているのですが、聴覚障害をお持ちの方や、声や音声が聞き取りにくい方がいる事を考慮して、見やすくて分かりやすい字幕を取り入れるよう努力しました。3つ目は、概要欄を充実させた点です。概要欄には私たちが皆様に伝えたい注意すべき点や想いなどを載せていますので、よかったら是非ご覧になってください。そして4つ目は、みなさんお気づきかもしれませんが、私たちの動画は、様々な人のニーズに合うように、あえて系統を変えているという点です。池田が作った『もしもくんと銀ニャンが帰宅困難者受入施設まで歩いてみた』は、子供から高齢者の方まで全ての世代の方のニーズに合うように工夫して動画を作りました。一方で、渡邊が作った『青学生が一時集合場所まで実況してみた』は、青学生などの大学生や若いお洒落に敏感な世代の方のニーズに合うように工夫して動画を作りました。また私たちは、お互いの動画を見比べてお互いの意見を出し合い、創意工夫して作り上げました。それぞれの動画で、私たちなりの小さな沢山の工夫が取り入れられているので、是非ご覧になってください。
2人が作成した動画はYouTubeからご覧いただけます。
~最後に~
私たちは、お互い動画編集などしたことがなかったので、最初は右往左往していました。何度も落胆し、挫けそうになることはありました。しかし、皆様にとって本動画が「もしも」という災害の際に役立つようにするということを私たちの目標として、お互いに意見を出し合い、周りの協力なども得て、なんとか本動画を作り遂げることができました。私たちが本動画を作り上げることができたのは、周りの友人家族、また皆様という目標があったからです。ありがとうございます。最後になりますが、災害はある日突然前触れもなくやってくるものです。なので落ち着いて行動できるように「もしも」に備えましょう。そして、本動画が皆様の「もしも」の備えにお役に立てたら幸いです。
(左が池田さん、右が渡邊さん)